もちろん自分は1日4公演のステージなどこなしたことないので、その過酷さは想像だにできないが、マサ斎藤ですら「アメリカのリングでは1日に3試合、4試合もやらされて辛かった」みたいなことを自伝に綴っていた記憶があるから、それぐらい大変なことなのだ。きっと。
マサ斎藤の体験だけを尺度にするのもなんなので違うモノサシを持ちだすと、2009年にジャニーズJr.の皆さんが東京国際フォーラムで「1日4公演やるぞ!コンサート」なるイベントを敢行し、当会場における1日の公演数最多記録をうちたてている。
そう、これはもう「記録」にできてしまう数なのだ。
さらにいえば翌24日午前中に軽トラ市で定期公演、そっから午後にも「まむしの湯」で七福街道夏まつり・出張軽トラ市ライブが控えているから、これらが雨で流れなければ1日(24時間)6公演もこなすことになり、かつてアメリカのラッパー・Jay-Zが2006年に達成した24時間7公演(これで彼は「24時間で最も多くのライブをおこなったアーティスト」としてギネスブックに載った)にあと一歩のところまで近づくことになる。
ちなみにこの記録は2012年に米ロックバンドFlaming Lipsが8公演、さらに今年5月カントリー歌手Hunter Hayesが10公演(!)もやり散らかし少し追いつきにくいものとなってしまったが、「糸島にて24時間で最も多くのライブをおこなったアイドル」カテゴリをつくってしまえば即殿堂入りはマチガイナイわけで、だったらついでに「糸島でいちばんバドミントンの好成績をあげたアイドル」「糸島でいちばんイチゴを消費したアイドル」なんかもどかどか申請してしまえばいいじゃないか。夢はひろがるばかりだなあ。
なんの話だっけ。
ああそうだ、4公演。
前述の通り「そんなにやって身体壊さないかしら」と心配するところもあるが、長糸と大石、去年どちらも台風で中止になった経緯があるので「今年こそ観たいっす!」の思いもひときわ強く、ここは身勝手なファンとして「やってくれたらありがたし!」と頭を垂れるばかり。
今年こそお天気に恵まれますように。この夏はホント雨ばっかりなんだよ、福岡。先週も「怡土の里まつり」がそれで中止になってるし。なにとぞ、なにとぞ。
ウキウキ(雨期とかかってない。断じて)しながら23日が来るのを待っていると、後日、その日の詳細なタイムスケジュールがアップされた。
16:45~ 南風小学校夏祭り
ほうほう。
18:15~ 長糸小学校夏祭り
ふむふむ。
18:30~ 大石公民館夏祭り
なるほどね。
・・・えっ、ええーっ!
目をゴシゴシゴシ、ええっ、えええーっ!
慌ててGoogle Mapをひらき、長糸小学校と大石公民館の位置関係を測ってみる。
いやいやいやいや、ムリでしょ!これ絶対15分じゃ移動できないでしょ!仮に移動時間を含めたとして、長糸のステージはどうなっちゃうの!?
「私たちのオリジナルソング『いとくると』を今日は超ショートバージョンで聴いてください!」
♪(イントロ) じゃーんじゃんじゃーんじゃん じゃーん
「ありがとうございましたー!」→撤収!
・・・ないない!絶対ない!それはそれで面白いけど!
じゃああれだ、おそらく誤植に違いあるまい。
『詳細』をみれば正しい情報が載ってるはず・・・と、マウスポインタをイベント名のうえに重ねたら「時間が重なるため、2グループに分かれて出演します。」のフキダシがポン!と出現した。
えっ、ええーっ!?
これは・・・これも・・・困った。
困ったぞー!!
ううむ。
"どっち"も観たい。逆にいえば、"どっちとかない"。
Lovit's!のイベントといえば勿論ステージがメインだが、もうひとつ、彼女たちに連れられ、なかなか足を踏み入れることがない糸島のその場所で、そこでしかみれない光景、そこで生活する人々の営みにちらっと触れるのもまた楽しみなのだ。
長糸夏祭りも大石夏祭りもどちらも一年で一回限りの催し、出来ることならどっちも体験したい。ああ、どうしたらええんや。
これがとんち勝負であれば可也山の頂上にでものぼって「長糸小学校と大石公民館どちらも見えました(デデン)」とドヤ顔をキメればよかろう。しかしそんな一休さんは即打ち首だ。
タウンページで怪しき博士を捜しだして自分の分身をつくってもらおうとも考えたが、公演が終わって用済みとなったクローンの始末を想像したら思いのほか怖くなったんでこれまた却下。ヘタしたら返り討ちにあうかも知れないし、怖い怖い。
いろいろ悩んだ結果、現代にはYoutubeという便利なものがあり、それを利用すれば現地の空気こそ味わえないが「どういうことがあったか」ぐらいは追体験できるということで、泣く泣くそれで手を打つことにした。
というわけで粉砕ジャーナルさんとお互いどちらに行くか協議することとなり、コトによっては殴りあいにまで発展しそうな喧々囂々の大議論も危惧されたが、事前に伝えられた"割りふり"のおかげで意外とあっさり「大石派」「長糸派」に別れることができました。よかったよかった。
・・・でもホントにどっちとかないから!
ファーストステージ・南風小学校を後にして、県道12号線を起点~糸島高校~のほうへ。そこから西町交差点を左折し、道なりに県道54号をまっすぐいくと目的地・大石公民館がみえてきた。
敷地内の広場を利用した会場は既に近隣の方々で大賑わい、屋台の鉄板からたちのぼる白煙がイイ感じにお祭り気分を醸しだしている。
とりあえず公民館の近くに駐車場を探そう。
うん、ない。
どうしよどうしよ、少し焦りながらあっちにいったりそっちにいったり、結局会場からそう遠くもないがそう近くもないホームセンター「JA糸島アグリ」に車を停める。
あっ、降りて気づいたけど、ここから公民館へと続く道、今年2月の糸島駅伝大会で最終走者あんぬちゃんが激走をみせたあのグロリアス・ロードではないか!あれは素晴らしかったなあ。
当時の思いでに浸りながら自分もあんぬちゃんの影を追うように大石公民館へ急行。いや、急がなくてもいいんだけど、公演が終わったあと走らされるのは目にみえてるので、どれぐらいかかるかサンプル取っといたほうがいいかなって。
だいたい3分。よし。
大石公民館着。
紅白の垂れ幕がかかったステージのうえに「第30回 大石まつり」の文字が踊っている。空はザ・曇天のままだが降りそうな気配は今のところない。ひとまず安心だ。
にしても湿度がけっこうなもので、とりあえず気分だけでもスッキリさせたいとビール・・・はダメだからラムネを求めに屋台へ。
しかし好事魔多し。財布のなかに五千円札しか入っておらず、罪悪感に苛まれながらおずおずと樋口一葉さんをだしたところ、やはり売り子さんがお釣りを探しておおわらわ。く、くずしてきます!
とは言ったものの、公民館前の三叉路にたって周囲をぐるっと見渡せば辺り一帯住宅と田畑だらけ。コンビニエンス的なものが一切みあたらぬ。く、くずせない!
もいちどアグリまで戻り、そこでお茶と野菜を買ってまたお祭り会場へ走った。
疲れた。
しかし、このいかにも残念な往復がちょうどいい時間つぶしとなったようで(まけおしみ)、ラムネを手に席についた瞬間、タイミングよくプログラムがスタート。「子供たちの踊り」「糸島農業高校太鼓部演奏」を最前列で堪能する。糸島農業高校太鼓部の演目では男子がバットで太鼓をバンバン叩いてて、これはとても格好よかった。
なんとなしに進行表に目をやると、プログラムの下のほうに「22:00 打ち上げ」とある。
時間が時間だし、「閉会」のあとにあるってことは、これは花火の「打ち上げ」でなく、皆さんでカンパーイ!の「打ち上げ」を意味しているのだろう。
打ち上げまでプログラムにとりいれるお祭りもなかなかないと思うが、確かにこれがあるだけで運営側&出店者も「お、ちゃんと打ち上げがあるんだな」と安心&頑張る目標ができるし、お客さん側も「あ、じゃあ一杯だけお相伴していこうかしら」みたいな気分になって結果最後まで居る(=お金を落としてくれる)だろうから、なかなかいい作戦ではなかろうか。
是非ロックフェスとかでも取り入れて頂きたい。
例えばこうだ。
「ラウドパーク 14」
20:30 ドラゴンフォース
21:00 アーチエネミー
21:30 マノウォー
22:00 打ち上げ
ほら、イカつツいメタルの祭典がずいぶん親しみやすいお祭りになったよ。
さらに「打ち上げ」の下に視線をやれば、そこには「翌日は朝8時から片付け 朝食付き」の一文が。これはあれか、「酔いつぶれたらそのまま公民館の畳の間で一泊していっていいですよ、明日は糸島の食材をふんだんに使った美味しい朝ご飯をだしますからまた片付け頑張ってくださいね」の略だろうか。うーん、なんとも羨ましい。こちら全くの部外者だが、この「朝食付き」のおかげで無関係のお祭りを少し手伝いたい気持ちにさせられてしまった。
撤去時にかかる人件費用の削減を考えているフェスがあれば、これを参考に「朝飯つきボランティア・チケット」みたいなのを売りだせばいいんじゃないだろうか。
例えばこうだ。
「UDO MUSIC FESTIVAL」
富士スピードウェイ モビリタ・ステージ
11:25~ バディ・ガイ
12:20~ ヌーノ・ベッテンコート
13:35~ プリテンダーズ
15:00~ ドゥービー・ブラザーズ
16:50〜 ジェフ・ベック
18:50~ サンタナ
12:20~ ヌーノ・ベッテンコート
13:35~ プリテンダーズ
15:00~ ドゥービー・ブラザーズ
16:50〜 ジェフ・ベック
18:50~ サンタナ
22:00 打ち上げ
翌日は朝8時から片付け 朝食付き
ほら、超行きたくなっちゃった!
・・・ええと。
「糸島農業高校太鼓部演奏」の撤収が済んだところで、このあとのスケジュールを考慮してか、やや前倒し気味に「糸島ラビッツ」のステージが始まることになった。
大石メンバーはあさきちゃん、なるなる、さとみちゃん、れなちゃん、ゆうちゃんの5人で、こんなの滅多にみれない激レアな組みあわせですよ(この状況下ではどうやっても激レアな組みあわせになるんだけど!)。1日に4試合をこなしたマサ斎藤によれば、いちばんハードなのが2試合目だったらしいから(理由は忘れた)、ここは頑張って乗り切って欲しい。ちなみに、3試合目からはハイになるそうだ。
一曲目はれなちゃんとさとみちゃんがマイクを握って「Magic Island」。
二曲目はあさきちゃん、さとみちゃんでLinQさんのカバー「for you」。
三曲目はなるなる、れなちゃんで「いとくると」。こちらはなるなるのマイクだけがなぜか生きてて(調整の具合か、それとも感度の問題か)「おやっ?」となったが、MCになった途端れなちゃんのマイクも息を吹き返したので、またまた「おやっ?」となった。
Lovit's!のライブではこういうミステリアスな音響のなぞかけがちょくちょく投下され、それがまた"原因/理由を推理する幸せ"みたいなものを与えてくれるのだが、だいたいのことは「糸島のマジック」で納得できてしまうから面白い。
どれも一期一会のハプニング。
ゆえに素晴らしい。
「糸島のマジック」といえばそろそろ長糸でも公演が始まった頃だろう。
いま目の前にLovit's!がいるのに、時同じくして他の場所でも別のLovit's!が歌っていると思うと、これまたマジックの気配を感じずにはいられない。ファンとしては少し心苦しいところもあるが、たまにはこういう魔法が発生したっていいじゃないの。
・・・たまには!
MCコーナー、れなちゃんより糸島市民まつりの告知。
ここではMC以外のメンバーによる小さな身振り手振りの告知サポートが隠れた見所となっていて、なるなるとさとみちゃんによる「よっか・いつか」に始まり、「いとしまの新鮮な食材をつかった『i-1(アイワン)グランプリ』」にあわせ(おそらく)エアそうめんちりを食すなるなる、「秋の夜空にうちあがる花火大会」ではあさきちゃんとなるなるによる大輪対打ちを観ることができた。いやはや、こんなにカンペッキーな告知が他にあるかってハナシですよ。
バイラル・マーケティング全盛の世の中でド直球かつ確実に「行きたい!」と思わせる最強の宣伝スタイル。ただただ感服するのみである。
市民まつりの楽しさをコンパクト&パーフェクトに表現したこれら一連の芸能を「Lovit's!による糸島市民まつりPR」として、福井神楽に続く糸島の無形文化財に推薦したい。
ラストはLinQさんのカバーで「HANABI!!」。こちら、あさきちゃんとなるなるのダブルボーカルだったが、こちらもやはりなるなるマイクがパワフルすぎて、ほとんどなるソロになってしまっていた(前にいたのであさきちゃんの肉声もしかと受け取れました)。しかし、これもスペシャル公演って感じでよかったですよ!お祭りだからなんだってオッケー!
確かに11名揃ってこそのLovit's!だけど、今日の大石組ステージも少人数なりの良さがあったのではないだろうか。初めてLovit's!を観た人にとっては手頃な編制ゆえ顔と名前を覚えやすかっただろうし、「これよりすごい完全体って一体どうなの!?」と気になった人もいたに違いない。で、ファンとしては「また貴重なものを観せて頂きありがとうございました!!!!!」のかぎりである。同時多発ライブは正直もう勘弁してほしいが、まあそのなんだ、試練!って感じでとても楽しかったです。
これでおしまい、かと思いきや司会の方より「もう一曲お願いしてあります」と想定外の粋なはからい。えええ、時計みたら既に18時50分に近いんですケド大丈夫?丸田池、間にあうの(Lovit's!の出番は19時から)!?と客ながらビビってしまったが、糸島市民からすると意外に目と鼻の先感覚だったりするのかな。いや、ひょっとすると糸島市民だけが知っている地下の近道があるのかも。
老若男女を交えたごきげんな「恋するフォーチュンクッキー・大石バージョン」にからだを揺らしながら、とても夏の大スペクタクルの10分前とは思えぬピースフルでステキな時間を過ごしました。
今度こそちゃんと終わったことを確認し、荷物をまとめ〜ついでに丸田池へと急ぐメンバーの後ろ姿に「大石組、最高!」と声をかけ〜アグリへダッシュ!
すでにお腹いっぱいだが、このあとまだLovit's!のステージが待ってるかのと思うとホントに気分はもう天国。今日はもう「Lovit's!夏祭り2014」でいいじゃないか。それでいこう。それで毎年お願いします。
19時前。
糸島のあちらこちらにLovit's!を追って丸田池公園へ急ぐ人たちがいた。
いわば牛追い祭りならぬ兎追い祭り、こちらもまた糸島の無形民俗文化財に推薦したい。
皆様くれぐれも道中お気をつけくださいませ。また後ほど、LinQ夏祭りで。