2014年7月23日水曜日

第2回 いとしま海の祭典 -芥屋の大門納涼花火大会-


 映画 「アメリカン・ハッスル」を観ていたらジェニファー・ローレンス演ずる主人公の奥さんが「変化はきらい(I Don't Like Change)」と涙をこぼすシーンがあり、こちらもその熱演っぷりに絆されて、つい、ええいああ、一緒にもらい泣きしてしまった。
 たしかに「変化」というやつは厄介で、めんどうくさく、しんどい。それでいて、その先なにが起きるかは不透明。なのに後戻りは出来なかったりする。
 それが変化だ。僕も変化はきらいなほうだ。

 これがなんのマクラかと申しますと、昨年に続き今年もまた「いとしま海の祭典 -芥屋の大門納涼花火大会-」に行ってきたのだが、まあこちらでもたーくさんの"変化"地雷があちらこちらに埋められてて、俺がジェニファー・ローレンスだったらハンカチ何枚あっても足りんかったよ、というお話です(デデン)。

 まず、去年は花火会場のすぐ近く〜芥屋キャンプ場〜に車を停め、ザックザックと砂地を数歩あるけばもうステージ。んでLovit's!みて、花火みて、交通規制のおかげで22時までは車だせなかったけど、 テキトーに時間つぶしたらハイ帰宅!みたいな感じで、全てがシンプルに滞りなく進行したのだ。
 ところが今年はどうだ。いきなりキャンプ場で警備員さんに「関係者のみとなります」とけんもホロロに追い返され、ようやく車を停めることができたのはビーチからえらく離れた芥屋球場なる場所。
 こちらが早く来すぎたのも悪いが、そこで30分ほど待機(とは名ばかりの、本意ではない日光浴)させられ、ようやくやって来た送迎のシャトルバスにまた10分ほど揺られ、それでやっとこさ会場到着という・・・この時点でジェニファー・ローレンスがバスに乗ってたら「変化はきらい」の涙でバスの乗客全員ぶくぶく溺れていたことだろう。まあ、乗ってないんだが。
 で、またこのシャトルバスが海水浴場まえを素通りしてですね。100mぐらい離れた芥屋の大門前にてお客さんを降ろすという、これまた過剰にメンドくさい運行方式を採用してまして、もー、勘弁してくれよお。
 去年もシャトルバスった同行の糸島先輩・黒田さんが仰るには「去年はちゃんと海水浴場の入り口で降ろしてくれたのに」だそうで、まあその、これらすべて「変化」というより、おそらく大会運営が前年学んだ反省を活かしての「改善」なのだろうが、一介の物見客に過ぎぬこちらとしてはミルフィーユのごとく幾層にもわたって堆積した面倒のおかげで気疲れ半端なく、それでもLovit's!が観たいから頑張ってビーチにむかってゾンビのごとく歩を進めるが、すでに心はボッキリ折れ済みであった。
 これ以上の「変化」がありませんように、と切に願う。

 5万年ぐらい歩いてようやく花火会場に到着。
 いやあ、遠かった。信じられないぐらい、遠かった。
 遠くて遠くて、西遊記の次の候補地に推薦しようかと思うほどだったが、お祭り会場に近づくと、おろしたての浴衣ではしゃぐ若者や水着姿の女性、屋台の賑わいなどから放たれるキラキラの夏電波・糸島電波になんだか無闇にウキウキさせられ、疲れが跡形もなくとぶ。
 なんて単純なんだろう。

 イベント広場に到着。
 ステージをみると、これが去年より低くなっており、あのときはLovit's!が踊るたびにギシギシ揺れる骨組みに肝を冷やしたものだったが、今年は低くなったぶんガッシリ度が増した感じがして少し安心。これはイイ「変化」といえよう。
 荷物を最前のベンチにおき、とりあえず糸島名産が集まる物産屋台へ。
 はーらがへったー、はーらがへったー、はーらがへったー、ぞー!
 おおお、以前伊都祭で食べてメロメロになったグローウェルカフェのぶっといフランクフルトがあるじゃん!景気づけにペロリと一本いただく。やはりうまい。うまいうえに食いでがある。最高だ。
 ステージでは「芥屋の海岸で愛を叫ぶ」コーナー(いわゆる絶叫大会みたいなもの)が始まり、審査員の糸島市在住女性シンガーソングライターmonさんが模範演技として夫(現糸島市会議院・スター高橋氏)への愛を叫ばされていた。
  なんとなくボンヤリ観てしまったが、出場者のなかで糸島への愛をストレートに表現した坊主頭の男子小学生くんによるスピーチがとびぬけて素晴らしく、こんな子供のころから既に郷土愛に目覚めてるなんて、感動を通りこして少しビビってしまうところもありつつ(転勤族だったんでそういうところはよくわからないのだ)、確かにこの景色のなかで育ったらそうなっちゃうな、と納得できる空の青さ、海の美しさ&賑わっていながらフシギと落ち着く静けさが芥屋にはある。さすが環境省の定めた快水浴場百選にも選ばれているだけある(福岡ではここと遠賀郡の波津海水浴場だけ)。

 フランクフルトをノンアルコールビール(これがノンでなければどんなに幸福か!)で流しこみ、空き缶と諸々のゴミをもって海の家のゴミ捨て場へ。
 軒にさがったスピーカーからモーニング娘。「サマーナイト・タウン」が風情たっぷりに流れていたので、一応ファンのたしなみとしてしばしそのまえに佇み、耳を傾ける。
 傾けながら、なんともなしに小屋のなかに目をやると・・・あー、Lovit's!がいるなあ。
 ・・・!?

 慌てて近くにメン・イン・ブラックがいないか探す。今すぐ彼らの記憶消去ペンライトが必要だ。
 しかし、こんなアッツアツのビーチに全身黒い背広で身をかためた男たちがいるはずもなく(ダメ元でペンタゴンに「宇宙船の破片を拾った」と電話すれば良かったかもしれない、秒速で駆けつけるらしいから)、あとはミョウガをどんぶりで食うぐらいしか策は残されていないが、もちろんミョウガを食べさせてくれるような屋台もない。
 ・・・ミョウガ=物忘れの妙薬って認識はいまどれぐらい通じるんですかね。

 ネタバレの衝撃にふらっふらになりながらイベントエリアに戻る。
 ううむ、期せずして"目撃"してしまったけど、逆にそのおかげで期待値も振り切れんばかりになっちゃってたりして、「いっぺん観ちゃったから、もういいじゃん!もっかい確認しにいこうぜ!」と囁く心のなかの悪魔をマウントポジションで抑えこみ、タコ殴りにして我慢する。

 18時。ステージライブが始まり、地元のJazzデュオ(18:00~18:15)、おなじく地元のダンススクール(18:17~18:27)、やっぱり地元のアロハチーム(18:29~18:39)を経て、いよいよ我らがアイドルのお時間となった。
 ちなみに括弧内のタイムスケジュールは僕が測ったものではなく、あらかじめプログラムに書かれていたものだ。えらいキッチリわけとるなあ。
 さて、それではようやく、満を持して「第2回いとしま 海の祭典」を盛りあげてくれるアイドルさんが登場です!
 ザ・ピンチーーーーーズ!!!!!
 だ、だれーーーーーーーーーーーっ!?

 本日の司会も勤めていらっしゃるザ・ピンチーズは知る人ぞ知る〜RKBラジオのレポーター・中村美由紀さんと麦田陽子さんによって結成された〜妙齢女性ユニット。果たして彼女たちをアイドルといっていいのかどうか疑問&若干の抵抗があるが、RKBラジオ・ホームページ内の紹介をみると「いつもピンチの逆境アイドル」と、はっきりアイドルって書かれちゃってるからこれは認めざるを得ない。今のご時世、犬でもおじさんでもアイドルを自称すればそこで即アイドルになれてしまうのだ。これが現在のアイドルシーンだ。
 レトロなテイストの、けっこうじーんとくるオリジナル曲を、夕暮れの芥屋にベテランの風格たっぷりで朗々と響かせておられました。

 ん!で!
 ようやくLovit's!の登場・・・となるわけだが、その前に本日司会を務めるザ・ピンチーズから簡単な紹介がなされた。
 ・・・しきりに「いとしまPR隊 Lovit's!」のことを「Lovit's!隊」と連呼しているのは、なんなんだろう。
 いや、確かにさきほど海の家で糸島PR隊 Lovit's!のニュー・モードを目撃したばかりだが、ひょっとすると、その「変化」にあわせて名前のほうまで変えてしまったのだろうか。
 そうなると・・・俺、もう今日一日で起きた変化を受けとめられないっす!私服で芥屋の海にとびこんじゃうっす!
 ピンチーズの暴虐(と、言っていいだろう)はまだまだ続き「今日は新衣装で来てくれてマース!」と登場前にも関わらず非情のネタバレを投下。こ、こらっ、どういうつもりだ!ネタバレもなにも僕がさっき目撃したものこそ、その新衣装のLovit's!だったわけだが、記事でもここまで伏せてきたんだぞ!
 こればっかりは本人たちの晴れやかなる登場をもって解禁として欲しかった・・・!と、心のなかで悔し涙をなが「お母さんたちがつくったそうですよ~!」くぅー、裏話まで!そういうのはメンバーの口から直に聞きたいの!なんなんだよ!ピンチーズ!
 「それではLovit's!隊の登場でーす!」これだけネタバレしといて、また大事なところで「Lovit's!隊」って間違えるのかよ!オレがなにかしたかよ!ピンチーズ!



    おなじみ「今から〜」が元気よく芥屋の海に響きわたり、Lovit's! Themeにのって今日はフルメンバーのLovit's!隊(いちおう、まだわからないのでピンチーズ呼称を踏襲しておく)が勢いよくステージへ。
 先陣をきったあゆみちゃんが三期生おひろめ公演(2014年6月28日「手をつなぐ糸島市民のつどい」)以来ひさしぶりに「一拍ずれた」手拍子でリズムをとっててキュンとさせられた。
 そしてこれが件のニュー・モード、浴衣ユニフォームだ!
 ひびきちゃんが赤(超似合ってる!)、なるなるが濃いピンク(他は考えられない!)、あんぬちゃんが薄いピンク(どストライク!)、あさきちゃんがオレンジ(ベストマッチ!)、あみちゃんが水色(女神!)、あみなちゃんが黒(そうこなくっちゃ!)、さとみちゃんが金魚柄の白(絶品!)、れなちゃんが紺色(ジャンピングスマッシュ!)、あゆみちゃんが黄色(奇跡!)、あゆかちゃんがパステルグリーン(クロスカットスマッシュ!)、ゆうちゃんが朝顔柄の白(マグナム・オーパス!) とそれぞれ色は違えど、各々のキャラクターに超ハマってて、一瞬で感心を越え感動まで到達してしまった。こんな素晴らしい「変化」は他にない。
 一曲目の「いとくると」から、いつもの感じとはまた違った躍動感がビジュアルに加わり、新衣装の持つ無限の可能性を確信する。
 とくにひびきちゃんの「昔からこの衣装でやってます」といわれても素直に納得できてしまいそうな美しい身のこなし&ただならぬ魅せ方にただただ感服。
 さすがLovit's!のスキルリーダーだ。参った!!!


 MCコーナー。あんぬちゃんからいつも通りの「私たち、糸島PR隊Lovit's!です!」挨拶がなされ、「Lovit's!隊」には変わらないこと/これからも糸島をPRし続けてくれることを確認し、やっと胸をなでおろす。良かった良かった、安心しすぎて逆に海に飛び込んでしまいそうだ。なんでだ。

 二曲目はLinQさんのカバーで「HANABI!!」。
 おお、こちらも今日初おひろめ!イイ「変化」が次から次へと続くなあ。
 僕が知るLinQさんの曲は9割ぐらいがLovit's!さんから教えられたものだが、「HANABI!!」に関してはちゃんとご本尊のそれをなんどか体験済みである。そのなかでは昨年豪雨のなか決行された「LinQ夏祭り」での、映画で観るベトナム戦争のごとき泥まみれの狂騒がとくに忘れ難いが、今日はどこまでもかわいくピースフルな「HANABI!!」で、あっちとはまた違ったエモい情景があった。こうも環境で曲の印象って変わるものなのだろうか(どっちも素晴らしかったですよ!)。
 そろそろカバーレパートリーもたまってきただろうし、「Lovit's、LinQナンバーを歌う」とか聴いてみたいものだ。
 本日は以上の2曲で終了。


 ザ・ピンチーズを交えての後説。
 さすが妙齢の女性コンビはインタビューに於いてもグイグイで、ファンのあいだでも果たしてそうなのか?の議論が尽きない、先だっての「糸島ラビッツ メジャーデビュー」問題に真正面からメスを入れてくる。「メジャーデビューしてみてどう?」と少々答えに窮しそうな質問をされたリーダー・あみちゃんだったが「自分がメジャーデビューの曲に携わってるのが嬉しい」と、確かにマチガイではナイ百点満点の解答でこれをみごとに迎撃。おみごとです!

 ここで出番はおしまい、と思ったらLovit's!はそのままステージに残り、糸島の私設ゆるキャラ・・・といっていいのだろうか、くまのぬいぐるみチーム「コサンタとゆかいな仲間たち」と合流。
 このくまさんたち、時流にとにかく敏感で「恋するフォーチュンクッキー」糸島版をつくったり、いまはファレル・ウィリアムズ「HAPPY」のやはり糸島版をつくらんと活動なさってたりする。
 プログラム・コサンタとゆかいな仲間たち(19:08~19:13)は彼らとLovit's!が「恋するフォーチュンクッキー」を歌い踊るものであった。
 ノンアルコールなこともあって少々恥ずかしいものがあったが「Lovit's!がやるから、やるんだぞ!」と自分に強く言い聞かせ、音楽にあわせ胸の前でおにぎりを握る。
 ステージ去り際、あんぬちゃんが左右二匹のくまに自分の腕を貸して出口へ導いていたのがこのうえなくステキであった。

 やがてサンセットの地に日が沈み、空が暗くなったところで花火が勢いよく宙へ踊りだす。
 その数、5000発。
 花火大会も花火見物どころじゃない混みっぷり&ガヤっぷりでがっかりぐったりさせられるものが少なくないが、ここ糸島の奥部でくりひろげられる地元密着型の花火大会はどこまでも良い意味の「地域のお祭り」感で満ちており、騒ぎや窮屈といったものはみあたらない。
 そのへんの椅子にすわってボケーッと花火をみながら、まったりくつろいでいると・・・ここで次の「変化」が襲ってきた。
 同行の粉砕ジャーナル主幹・黒田さんが突然「かえりましょう!」といいだしたのだ。
 えっ?えっ?
 聞けば、なんと蚊の集中攻撃をくらって、痒みが我慢できない臨界にまで達したらしい。去年はこんなことなかったのに、とボヤき苦しむ主幹にせかされ、アワワと席をたつ〜一箇所も刺されてない、蚊の存在すら気づかなかった〜俺。
 どうやら糸島の蚊にもパワーアップ&凶暴化という「変化」が訪れてたみたいっす。やっぱり「変化はきらい!」

 ビーチからシャトルバス発着場へと続く、街頭ひとつない真っ暗な道をiPhoneと花火の光だけをたよりにトボトボ歩く。
 あたりに真っ暗以外のものがないので、昼来たときよりさらにながい道のりに感じられたが、ふと見上げればなかなかの星空が頭上にひろがっている。「変化」がなければ気づかなかった光景だ。
 意外といいとこあるんだな、「変化」も。

 たしかに「変化」というやつは厄介で、めんどうくさく、しんどい。それでいて、この真っ暗闇ようにその先なにが起きるかは不透明。なのに後戻りは出来なかったりする。
 それが変化だが、変化に身を投じないと見えないものもあるのだ。
 また糸島に、Lovit's!に大事なことを教えられた。
 Lovit's!隊ではなく、Lovit's!に。

 あと、来年は虫除けスプレーが必要ってことも。




2014年7月19日土曜日

Fukuoka Girls Festival 2014/曽根夏祭り


 マリンメッセの駐車場に車を預けようとしたらなんとその日は「貸し切り」で全エリア閉鎖されちゃっててどどどどうしよどうしよ開場の11時まであと10分ねーのにやべえやべえ慌ててUターンこうなったら多少ふんだくられてもいいからテキトーなところに突っ込んだれーの覚悟を決めたその瞬間「30分100円 最大500円」のスイートな看板が目にとびこんできて、それを掲げるメッセ真向かいのコインパーキングにイン。
 ほんとにこのお値段でしょうか、と少し訝しがりながらも、もはや「じかんーがーたーりなーい♪」(あのねのね「この場所で光を」)にもホドがあるのでとにかくダッシュ。炎天下のなかダッシュ。「HELP ME!!」のPVで生田えりぽんが突っ立ってた埠頭の舗装道を駆けぬけ、昨夏Rev. from DVLのお姉さんメンバーが盆踊りに興じていたベイサイドプライス(©ゆっきー)のデッキを横断し・・・あれっ?会場のランブレッタ・ベイサイドってどこだっけ? ポートタワーの真下とか書いてたけど、そんなのあった?
 あった。
 そして、まにあった。

 すでに入場を待つ人々が路肩に沿って列をなし、その数、多からず少なからずといったところで「マッタリしたい」派の参加者としてはやや胸を撫で下ろす。
 列は前から整理番号S、A、Bの順。Sは先行で一部&二部通し券を買った人、Aは先行一部のみ、Bは一般発売=出遅れ組みたいな感じだろうか。
 ライオン前広場プレイベントの翌日、ぴあで購入したチケットに「B」の文字が刻印されているのをみたときはさすがに言葉を失ったが、これだと特に影響はなさそうだ。

   11時すぎ開場。
 入り口でもぎりの女性~日本経済大学発のアイドルグループ・NKD(夜の部のオープニングアクトだが、イベント自体のお手伝いもやってらっしゃるぽい)のメンバーさん~にチケットを渡し、腕に黄色いリストバンドを巻いてもらう。
 リストバンドには「TRUST」(本イベント主催。TRICK8F、FantaRhyme、Lovit's!を手がけるいわば福岡ガールポップ界のPWL)の文字が燦然と輝き、さすが主催だけあって、本日のステージにもすぐ目にとびこんでくる位置にどどーん!と TRICK8fとFnataRhymeの横断幕が掲げられていた。
 うーん、実に頼もしい。

 会場のランブレッタ・ベイサイドは元来フットサル場として使用されている施設だそうで、コートのタッチライン沿いにステージが設営されているからか、あまり奥行きは感じられないものの、程よい広さ、そして足もとが目に優しい&足にも優しい緑の芝だったりして、なんとも新しさを感じるロケーションになっていた。
 ただひとつ難を言えば、この季節、屋根がないのはやっぱりキツく、のぞき見対策かコートのまわりを黒いシートで覆っちゃってるのも、風が遮断されちゃってまたヤヴァい。グアンタナモってこんな感じなのかな、と異国情緒に心を揺さぶられる。
 しかし、このスポーティな空間と野外の雰囲気が、ともすれば心(及び見識の)ない人々からマニアックな催しに視られそうな今日のイベントをフェス→レジャーの領域まで高めていたのも事実で、このへんのTRUSTによる采配、実にマチガイナイといえよう。

  整理番号Bながらステージ中央付近・前から3列目ぐらいを無事に確保し、安泰安泰。左腕にいとゴン腕章(安全安心いとしま恊働ネットワーク作成・限定3000個)を巻いて、己が所属とアティチュードをたからかに表明する。
 ・・・それにしてもあっちい、マジであっちい。
 人が密集するなか、太陽も空の頂きに登りつつあり、これ水分補給しないとダメなやつだわ。
 ドリンクブースにいって水、水くださ・・・水(いろはす)、300円!?ビール、600円!?そのサーバーの中身はもしやウィッチウッドなのかい!?
 ボッタクリすぎやで!と天を仰いだ瞬間、PAテントより本イベント発起人にして進行役を務めるH(eichi)さん~TRUSTのボス~から「ボッタクリ価格で販売してまーす」といかにもあっけらかんなアナウンスが降り注いだ。
 一瞬、絶望が風となって心を吹き抜けていったが・・・イイ度胸じゃないか、ええい、こうなったら思う存分ボッタクラレたろうじゃん。
 「ビールだ!ビールもってこーい!」と叫ぼうするも、今日はこのあと糸島で夏祭り(本日Lovit's!2つめの公演)が控えてるからお酒飲めないのよね。お水をください。

 11:45【いとしまPR隊 Lovit's! (オープニングアクト)】
 ボンヤリ待機していたら、なんの前触れもなく突然「Lovit's! Theme」が流れはじめ、ハテ音響チェックかしら?と首をひねったそのとき、Lovit's!の皆さんがソデより元気よく駆けだしてきた。フェスでこんな土壇場のリハとかやんないだろうから、つまり、これは本番ってことだ。
 事前に「(せっかくのフェスでPR隊にハジかかせたらいかん!」という思いから)今日はかけ声にあわせて、みんなで『エル!オー!ブイ!イー!いとしまラビッーツ!』やりましょう!」と、内々で話をつけていたのだが、これはなんとも虚を突かれる展開。
 が、始まったものはもうしょうがない。時は来た。それだけだ。
 本日の衣装はいわゆるゴスロリ風味のデザインのものだったが、これまで黒のニーハイ&シューズだった脚部パーツがスポーティーな白のスニーカーにとってかわっていた。

 Lovit's!では珍しい対外試合・それもTRUST親分肝いりの大事業なので総力戦でかかってくるかと思いきや、れなちゃん&さとみちゃんが不在。
 後で知ったところによると、Lovit's!がここランブレッタ・ベイサイドで糸島を背負って戦っていたとき、れなちゃんもまた糸島を背負ってなにかの大会で白球・・・とは言わないか。ええと、白羽根を追いかけていたそうで、遠くベイサイドから発信されたいとしまのマジック、きっとれなちゃんにも応援電波となって届いたことだろう。

 一曲目は「Magic Island」。
 念のため強調しておこう。
 第一回Fukuoka Girl Festivalで歌われた記念すべきオープニング・ソングは「Magic Island」であった。
  ダメ押しでもういちど言っておくと、現在(西暦2525年)では福岡、いや西日本最大級の音楽イベント・第二のどんたく・「ウッドストック、グラストンベリー、FGF」とまで呼ばれるようになったFukuoka Girls Festivalの第一回は「Magic Island」で幕をあけたのである。こんな栄誉なことがあるだろうか。
 リッチー・ヘブンスの「ハンサム・ジョニー」と並んだね。

 「みんなで『エル!オー!ブイ!イー!いとしまラビッーツ!』やりましょう!」は残念ながら果たせなかったが「『Magic Island』の然るべきところで肩を組み、左右に揺れる」案は無事に達成。
 これで「いとしまPR隊Lovit's!ファンここにあり」を他チームのサポーターの皆さんにも誇示できたんじゃないだろうか。

 「Magic Island」を歌い終えると、グループについての簡単な説明があり、そのまま「いとくると」へ。あら、自己紹介もないんだ。
 センターでいといと&くるくる1人2役を務めたあんぬちゃんのキレッキレダンスにとにかくクギヅケになる。こないだまで足をヤッてらしたのに、糸島っこの回復力には驚嘆するばかりだ。
 一応持ち時間15分、みたいなことがパンフに載っていたので、あとはいとゴンレス「いとゴンのシマ」か、もしくは福岡からメジャーデビューしたLinQさん(夜の部に登場)の曲をひとつ演ってシメかしら、と思っていると、なんとこの2曲で出番は終了。俺の4000円、ここまで!
 ・・・なんてセレブなお金のつかいかただろう!
  本フェスの約2週間前、三越前ライオン広場で催されたFGF告知イベントにて「頑張ってください!優勝信じてますから!」と勝手な激励をおしつけ(「えっ、優勝とかあるんですか!?」「な、ないけど・・・」)、それに「まだなにも決めてなくて・・・」「一週間前になったらミーティングします」と控えめなお返事をくださったひびきちゃん&あんぬちゃんの佇まいに「これが一大決戦を前にした人たちのテンションだろうか、落ち着いてて立派だなァ」と勝手に感服しちゃっていたものだが、確かに持ち歌2曲やる時間しか貰えないんだったら仕込みようもないわさ。
 逆に、仕込みようのない環境で満点のステージをみせてくれたのだから、これはもう賞讃するしかないわさ。
 Lovit's!ありがとう!入ったばかりの大一番で三期生も不安だったでしょうが、皆さんご立派でした!
 このあと14時30分から物販があるってさ。それまで生きてるかな、俺。

 14:XX~【昼の部 物販】
 参加した各グループがコート外周にブースを設え、いっせいに物販を開始。
 H(eichi)さんより「昨今ボディチェックや持ち物検査などいろいろ言われてますけど、皆さんを信用してますから、やりませーん」と、まさにトラストなアナウンスが公布され、ものすごく救われた気持ちになる。なんかあれ、実にやりきれない気分になるんだよな。
 閑話休題。
 Lovit's!テーブルには近頃お目見えを果たしたTシャツ(2500円。色はブラック・ブルー・イエローのスリータイプ、おすすめ)とハーブ・フレグランス〜糸島のハーブガーデン「プティール倶楽部 伊都国」にてメンバーの皆さんが調合〜「Magic Island」(1200円、おすすめ)とCD2種(「Magic Island」が収録されたビクター編アイドルポップス・オムニバス「Girls Pop'n Party」1800円と「Magic Island」純正品1500円、両方おすすめ)とポスター(500円、おすすめ)。
 よそと違ってチェキやブロマイドといった「主力品」はないが、それが糸島PR隊のいいところ、糸島PR隊の好きなところである。
 なんとも涼やかな姿勢じゃないか(いちおう断っておきますが、決して物販がきらいとかそういうんじゃないですよ!この日もれいしゅしゅ・丸ちゃんの写真を買って久方ぶりの謁見を果たしていますし、寸前で踏みとどまりましたが、青SHUN学園にも大いに心揺さぶられました!)
 そんな感じだから物販が弱いかといえば全くそではなく、メンバー自らTシャツ、CDを携えランブレッタのコートを行商に廻っていた・・・そこまでがんばらなくてもええねんで!!

 物販では約一ヶ月のお休みから復帰を果たした久しぶりのさとみちゃんに「いきなりの大舞台で活動再開ですね」と言ってしまい、「用事でステージには間にあわなかったので、物販からの参加なんです」「そ、そうだった!ごめん!」ああ、なんてこった。ぜんぶ、暑さが悪いんだ!このまま港にとびこもう!
 ひびきちゃんに「気になったグループはいましたか?」と訊ねたところ「山活さん・・・のクツ」と、なかなかマニアックな答えが返ってきたのが印象的でした。

 対岸のTRUSTブースまで足を伸ばしたLovit's!グッズ行商隊がついに「Tシャツ一枚お買い上げ!」の輝かしい成果をお持ち帰り。
 買ってくれたのはFantaRhymeのSAYAちゃん。その場で黄色のLovit's!Tシャツに着替え、周囲は「新メンバーや!」と大盛りあがり。おかえしとばかりにLovit's!メンバーたちもFantaRhymeのグッズを購入し、シチュエーションのせいもあって、なんだか試合後の健闘を称えあってのユニフォーム交換に近いものを感じた。

 それにしても皆さん暑いなか、ほんとにお疲れさまでした。


 しかし本番はここからなのだ。
 去年に引き続き、スタッフさんが7月第4週にみっちりスケジュールを入れてくださったおかげで~メンバーからすれば大変かも知れないが~この期間は日を置かずして大好きなLovit's!を観れまくるってんだからバンザイ、ハレルヤ、ありがたきシアワセである。こういう言い方もなんだが、FGFなんて前菜ですよ、前菜。そのわりには高くついたけど!
 今年の日程は「7/19 曽根夏祭り、7/23 第2回いとしま海の祭典、7/25 前原夏祭り、7/26 ケアプラザ伊都夏祭り、7/27 軽トラ市定期公演」と、まさにブロックバスター。
 これにくらべたらフジロックなんかへのかっぱ、サマーソニックなんてほのでっぱである。
 日程だけみれば、いわゆるアイドルさんがCDリリース週に繰りひろげる販促サーキットとそう大差ない感もあるが、そこに漂う商業主義とは一切無縁。Lovit's!に導かれるまま糸島のあちらこちらで歌を聴き、その場所の良さを知る、ほどよい夏の小旅行だ。
 これぞItoshima Girls Festival。略してIGF・・・イノキゲノムかよ!
 というわけで、「Lovit's!と巡る糸島のなつまつり'14」がはじまりはじまり。

  暑さが凄まじすぎてFGFの余韻に浸る余裕もなく、しかし来たる糸島へ募る想いは抑えきれず、雪崩れ込むように車に乗り込み (件の駐車場、ちゃんと500円だった!)、カーエアコンをガンガン焚きながら糸島へ向かう。BGMはTRICK8β「すべてをあざやかに」だ。とにかくリピート、リピート。おかげでステキなドライブとなりました。
 ちょっと到着の時間がよめないが、一応ステージは19時からということなので、そんなに急がされることもなく。余裕、余裕。1時間ぐらいかけて目的地の糸島市・曽根に到着。

 糸島市・曽根は田んぼに周囲をぐるりと囲まれた住宅地で、曽根丘陵と呼ばれる少しこんもりした土地のうえにわかりやすく集落を形成していた。
 こう書くと田舎の印象を与えかねないので一応フォローしておくと、丘陵の端には平原古墳という古代史テキにチョー重要なスポット(卑弥呼の墓と呼ぶ人もいる)があったりするから、数千年前はきっと一等地だったに違いない。数千年前は。
 お祭り会場の曽根公園を探して雑木林のあいだのほっそい道をこわごわ進むも皆目見当がつかず、いったん外に逃げ、平原歴史公園から伸びるメインストリートから探索を試みる。
 ああ、あったあった。
 夏祭に遊びにきた車を駐車場へと誘う看板が、あった。
 ので、それに従い指定の空き地へ車を停める。Lovit's!さん御一行も少しまえに到着したらしく、さほど離れてないところでバンから荷物おろしたりなんだり。
 既にステージ衣装に身を包んだLovit's!メンバーの遥か後ろをダラダラ随伴するかたちで夏祭り会場の公園へ。なんともアヤシい挙動だが、場所がわかんないんだもん。許して頂きたい。
 FGFの会場は海に臨した立地であったが、うってかわってこちらは内陸。背振の山々と同じフレームのなかでトコトコ歩くLovit's!さんの姿はやはり格別のものがあり、やはりLovit's!は糸島で観てなんぼのものだな、と解りきった事実を改めて再確認する。
 ほどなくして会場・曽根中央公園に到着。道案内ひらに感謝いたします・・・。


 曽根中央公園。そんなに大きくなく、かといって小さくもなく、遊具はないけど手頃なグラウンドがあって、云うなればザ・フツーの公園である。
 日頃はゲートボールに興じるお年寄りで賑わってそうな感じだが、今日はすでに隅から隅まで祭りに参ずる地元の人で溢れかえっていた。
 町内会の班ごとに出店してると思しき屋台はもちろんボッタクリ・プライスなどつけておらず、ビールも300円と良心的なラインで提供されている。まったくランブレッタ・ベイサイドの600円ビールとはなんだったのか。では一杯いただこ・・・飲めない!飲めなかった!
 おお、「ビール300円*おつまみつき」の屋台もある。そのまた向かいには「ビール 200円」の貼り紙を挑戦的に掲げる屋台(ちゃんとスーパードライ)もあるぞ。
 近距離感での熾烈な価格競争に「曽根自体、物価が安くて暮らしやすいのかも!」と勢い余って移住を考えそうになったが、氷結を200円で売ってる屋台を発見した瞬間、ひっくりかえって頭から地面に突き刺さった。

 今日もまた存分に飲めちゃう助手席野郎の粉砕ジャーナル発行者・黒田さんが満を持して200円のビールを購入。お店の人から「これも食わんね」と冷やしトマトまで頂いちゃってる。
 なんだこのうらやましみ。
 こちらはお茶だ。お茶と焼きイカ(100円)だ。お茶で食うぞ、焼きイカを!
 ・・・うまい!なんだこれ!?へー、蒲焼きのタレを使ってるんだって。
 しかし蒲焼きのタレってだけでここまで美味しくなるかね!?
 もぐもぐもぐ。ぐびりぐびり。
 どう頑張ってもお茶ってお茶の味しかしないな!

 手作り感満載の子供みこし、園児たちによるお遊戯会を経て盆踊りへ。
 浴衣のおばちゃんたちがスタンバイ中のLovit's!を「おいでおいで」と手招き。お、FGFを欠席してたれなちゃんがいる。と、なるとこれはフルメンバーか。
 FGFという大舞台でも観れなかった全員集合がその日夕刻の夏祭りでみれてしまうのもまた糸島の面白さ(ルビ:マジック)だ。
 曲はRKBラジオのパーソナリティとしてもおなじみ門馬良さんの「糸島市音頭」。
 実はこの曲もTRSUT謹製、Lovit's!の「Magic Island」「いとくると」を作曲したSHiNTAさんの手になるものだったりする。
 ベイサイドから遠く離れたと思いきや、まだTRUSTの手のひらのうえ。

 盆踊りが終わり、子供たちのダンスもおわり、いっぱいどころか既にひゃっぱいぐらいひっかけてそうな上機嫌おじさんのMCに導かれ、Lovit's!がステージに登場。
 ・・・あれっ?お囃子のLovit's!テーマがなんかおかしいぞ。
 なんだろう、この感じ。

   フシギな感覚は一曲目「Magic Island」に移っても依然・・・いや、より違和感を増幅させ我々に振り注いだ。
 オケのピッチが高いというか、中音と低音がゴッソリ欠落してしまってるというか、とにかくヘンなのだ。アシッド感満載なのだ。
 無念なことに、こちらミキシングについて全くの門外漢、ミキサー卓なんて触ったこともなく、音響に関しても全くのシロウトなので「○○が○○してるから○○く聞こえる」みたいな明快な説明が出来ないのだが、なんていうんだろうねえ。倍速っぽいけど倍速じゃないというか、なんとなくクリスタルというか、鍵盤をおしたらヒヨコがとびだすおもちゃのピアノを裏で一心不乱に演奏してる人がいるのかな?みたいな・・・全然伝わらないな、これ
 しかし、それが苦痛かというと全然そうじゃなく、なぜか普段以上にボーカルがクッキリハッキリ聴こえるし、新しい「楽曲の可能性!」を垣間みたような気もするしで楽しいこと、このうえない。
 レアなステージと呼ぶには少し躊躇われるが、目の前で起こっていることはトラブルでも事故もなく、メンバーの皆さんもこのハプニングを楽しんで歌い踊っているようだ。

 ああ、あれだ。
 ミラクル

 夕刻の糸島のそらのしたで突如はじまった、まるで予想だにしなかったドリーミーなステージに、「最高ですね!」の目配せを送らんと黒田さんのほうへ目をやったら、とっくに泣いていた。

 「Magic Island」からLinQのカバー「for you」へ。
 「そのままで!」というファンの願いを聞き入れ(黒田さんには確認してないが)、神が操る曽根のミキシングコンソールはまだまだフシギなエフェクトをオケにかけ続ける(メンバーからするとたまったもんじゃないかも知れないが)。
 ここで初めて「for you」に触れたひとたちはどう思っただろう。 こんなチャッチャカ♪シャッシャカ♪なポップスがあってたまるか!と憤ったJAZZ好き・オーディオマニアのおじさんだっていたかも知れない。
 しかし音楽とは何から新しいものが産まれるか全くわからない世界で、おそらくキング・タビーがよれよれの機材をいじって偶然「ダブ」を発見したときの衝撃(1968年・ジャマイカ)もこんな感じだったのではないだろうか。

 でもAメロ(verse)に入るまえの「カーーーーーーン!」には感動を通りこして噴きだしてしまった。
 それ、「水戸黄門」で格さんが印籠だすときの音!

 ともあれ拍手、拍手。
 音響のミラクルへの拍手もあったが、ちゃんと歌いこなしていたこと、その歌がまた素晴らしかったことに拍手、拍手。

 れなちゃんが進行役を務め、グループの紹介&曲説明をおこなってる最中にまたも"事件"が起きた。
 「Dr.スランプ」にでてくるお春ばあさんそっくりのおばあちゃんがステージに近づき、壇上の彼女たちにむかって手を差しだしたではないか。
 とうとうお年寄りまでケチャ(ステージ上のアイドルにむかって手を差しのべるヲタ芸・・・あってる?)をやるようになったか・・・と驚いたが、いや、その手に握られているのは・・・かき氷(メロン味)だ!なんてこった!
 横一列に並ぶメンバー11人に対し、たった1つのかき氷をさしだすおばあちゃんの図はまたかなりフシギな光景であったが、ひょっとしたら誰かの親戚だったのかも知れない。
 ここからどう展開するのか(かき氷だけに)ヒヤヒヤしながら見守っていると、ひびきちゃんがおばあちゃんに歩みより、優しく「後で食べていいですか?」と受け取ったことで全ては丸くおさまった。素晴らしい。
 ・・・「後で」はもう溶けてそうだけど!


 からの「元気で明るい曲」とれなちゃんから紹介された「いとくると」。

 ♪ポッポコポッポコポッポコポッポコ

 ・・・ウソだろ!?
 まだキラキラ、スカスカのSONE PLANET REMIX祭りは終わってはいなかった!
 この「いとくると」が今日聴いたフシギ・バージョンのなかで最もフシギな雰囲気を醸しだしていたかも知れず、その"この世ならざる感"は「あれっ、もしかして俺、ベイサイドからここに来る途中事故にでもあって命を落としたのかしら、ここは天国なのかしら?」と思ってしまったほどであった。
 あっ、MCで誰も音の異常に触れなかったのはそういうこと!?そんなどんでん返し!?シックスセンス!?
 さておき、この「いとくると」の音像に感銘を受けた僕は、Macに入ってる音楽いじりソフト「Garageband」「Autocity」を用いて何度かこの曽根サウンドの再現を試みたのだが、一回もそこに到達することは出来なかった。
 ゆえにミラクル。
 ゆえにまぼろし。
 それにしても、音も去ることながらボーカルのクッキリハッキリがほんと素晴らしかったとですよ。

 異次元から届けられたかのような「いとくると」を歌い終え、恙なくいとしま市民祭りの宣伝もクリア(あみちゃんによる「加布里漁港では秋の夜空に打ちあがる花火大会〜」が異次元のせいで「花火漁港」と聞こえてしまうハプニングがあったが)したところで、とうとう我慢できなくなったひびきちゃんが「スタッフのひと、今日はCD変えました?変えてない!?すごい壮大な、きれいな曲になってしまってるんですけど!」とようやくツッコミ。よかった!おれ、死んでなかった!
 それにつられてなるなるも音響を「オーケストラみたい」と例え、あみなちゃんは後にブログで「動物とのカーニバル」みたいだった、と述壊。
 面白いことにみんな受け取りかたがバラバラなのな。
 我々はといえば、黒田さんが後に開口一番「アンビエント!」、僕に至っては「アシッド感満載」・・・なんかヘタに歳くってるぶん音楽通を気取った感じが出ててヤですよね。
 言語感覚が「動物とのカーニバル」の足もとにも及んでないもんね。

 まあ、その、なんだ。
 つまり、この日のステージは"みえない「オーケストラ」が「壮大できれい」な「動物とのカーニバル」を「アンビエント」に「アシッド感満載」に彩っていた"ということで・・・やっぱり伝わらんわー、絶対伝わらんわーこれー!

 困っているところでひびきちゃんがこの現象を「曽根マジック」とシンプルかつパーフェクトに言い表すことに成功。参りました!
 「曽根マジック」か、いいね。

 最後はなるなるの「『曽根マジック』にかけられたこの曲を聴いてください!」から「祭りの夜 ~君にあえて良かった~」。
 ああ、素晴らしい。
 「君にあえて良かった」というより「曽根に来て良かった」だ。
 遠くベイサイドにはいろんな場所からコアなアイドルファンが集っていたというが、個人的には遠征してまで観るべきものとはこういう世界ではないかと思う(そりゃ「糸島で曽根マジックが炸裂します」みたいな告知はどこにもないけど)。
 まさに楳図かずお先生が傑作「わたしは真悟」で説いたところの「奇跡は誰にでも一度おきる だがおきたことには誰も気がつかない」だが、これは前半を「奇跡は糸島で何度でもおきる」に変えても全然成立するのだ。なので皆さん、是非、糸島の奇跡を体験しに来ましょう。

 以上でステージは終了。
 ソデにはけゆくメンバーに、MCのおじさんが「このステージのまえにですね、ベイサイドに出演されたそうですが」とマイクをむける。
 「どうやったですか?」むけられたひびきちゃん「楽しかったです!」「(おじさん、くいぎみに)ああ、こっちのほうが楽しかったて、あはははは」
 "営業でバカウケ"レトリックのド真ん中のヤツだが、いやまさに、それこそイッツ・トゥルーなのだ。
 同意の拍手をバチバチバチバチ!おじさんにむけて送る。
 絶好調のおじさん、そこからさらに「低いけんそこ(テントの骨組み)で額打たんごとねー。おじちゃんさっきそこで鼻打って、これがホントの『はなはだ迷惑』」
 バチバチバチバチ!

 一息ついて黒田さんとまたイカ焼きを食む。
 このイカ焼きの美味さも曽根マジックの為せる業か。
 ビールのナゾの安さも曽根マジックで説明がつく。
 曽根マジック、最高だ。
 最高すぎて、ぽくぽくと駐車場にむかって歩くメンバーに追い抜きざま「Lovit's!最高!」と叫んでしまった。
 これもちょっぴり、『はなはだ迷惑』。 やっちゃった。これはおじさんのせいだ、おじさんの。
(初出:8月10日配信)