2014年7月23日水曜日

第2回 いとしま海の祭典 -芥屋の大門納涼花火大会-


 映画 「アメリカン・ハッスル」を観ていたらジェニファー・ローレンス演ずる主人公の奥さんが「変化はきらい(I Don't Like Change)」と涙をこぼすシーンがあり、こちらもその熱演っぷりに絆されて、つい、ええいああ、一緒にもらい泣きしてしまった。
 たしかに「変化」というやつは厄介で、めんどうくさく、しんどい。それでいて、その先なにが起きるかは不透明。なのに後戻りは出来なかったりする。
 それが変化だ。僕も変化はきらいなほうだ。

 これがなんのマクラかと申しますと、昨年に続き今年もまた「いとしま海の祭典 -芥屋の大門納涼花火大会-」に行ってきたのだが、まあこちらでもたーくさんの"変化"地雷があちらこちらに埋められてて、俺がジェニファー・ローレンスだったらハンカチ何枚あっても足りんかったよ、というお話です(デデン)。

 まず、去年は花火会場のすぐ近く〜芥屋キャンプ場〜に車を停め、ザックザックと砂地を数歩あるけばもうステージ。んでLovit's!みて、花火みて、交通規制のおかげで22時までは車だせなかったけど、 テキトーに時間つぶしたらハイ帰宅!みたいな感じで、全てがシンプルに滞りなく進行したのだ。
 ところが今年はどうだ。いきなりキャンプ場で警備員さんに「関係者のみとなります」とけんもホロロに追い返され、ようやく車を停めることができたのはビーチからえらく離れた芥屋球場なる場所。
 こちらが早く来すぎたのも悪いが、そこで30分ほど待機(とは名ばかりの、本意ではない日光浴)させられ、ようやくやって来た送迎のシャトルバスにまた10分ほど揺られ、それでやっとこさ会場到着という・・・この時点でジェニファー・ローレンスがバスに乗ってたら「変化はきらい」の涙でバスの乗客全員ぶくぶく溺れていたことだろう。まあ、乗ってないんだが。
 で、またこのシャトルバスが海水浴場まえを素通りしてですね。100mぐらい離れた芥屋の大門前にてお客さんを降ろすという、これまた過剰にメンドくさい運行方式を採用してまして、もー、勘弁してくれよお。
 去年もシャトルバスった同行の糸島先輩・黒田さんが仰るには「去年はちゃんと海水浴場の入り口で降ろしてくれたのに」だそうで、まあその、これらすべて「変化」というより、おそらく大会運営が前年学んだ反省を活かしての「改善」なのだろうが、一介の物見客に過ぎぬこちらとしてはミルフィーユのごとく幾層にもわたって堆積した面倒のおかげで気疲れ半端なく、それでもLovit's!が観たいから頑張ってビーチにむかってゾンビのごとく歩を進めるが、すでに心はボッキリ折れ済みであった。
 これ以上の「変化」がありませんように、と切に願う。

 5万年ぐらい歩いてようやく花火会場に到着。
 いやあ、遠かった。信じられないぐらい、遠かった。
 遠くて遠くて、西遊記の次の候補地に推薦しようかと思うほどだったが、お祭り会場に近づくと、おろしたての浴衣ではしゃぐ若者や水着姿の女性、屋台の賑わいなどから放たれるキラキラの夏電波・糸島電波になんだか無闇にウキウキさせられ、疲れが跡形もなくとぶ。
 なんて単純なんだろう。

 イベント広場に到着。
 ステージをみると、これが去年より低くなっており、あのときはLovit's!が踊るたびにギシギシ揺れる骨組みに肝を冷やしたものだったが、今年は低くなったぶんガッシリ度が増した感じがして少し安心。これはイイ「変化」といえよう。
 荷物を最前のベンチにおき、とりあえず糸島名産が集まる物産屋台へ。
 はーらがへったー、はーらがへったー、はーらがへったー、ぞー!
 おおお、以前伊都祭で食べてメロメロになったグローウェルカフェのぶっといフランクフルトがあるじゃん!景気づけにペロリと一本いただく。やはりうまい。うまいうえに食いでがある。最高だ。
 ステージでは「芥屋の海岸で愛を叫ぶ」コーナー(いわゆる絶叫大会みたいなもの)が始まり、審査員の糸島市在住女性シンガーソングライターmonさんが模範演技として夫(現糸島市会議院・スター高橋氏)への愛を叫ばされていた。
  なんとなくボンヤリ観てしまったが、出場者のなかで糸島への愛をストレートに表現した坊主頭の男子小学生くんによるスピーチがとびぬけて素晴らしく、こんな子供のころから既に郷土愛に目覚めてるなんて、感動を通りこして少しビビってしまうところもありつつ(転勤族だったんでそういうところはよくわからないのだ)、確かにこの景色のなかで育ったらそうなっちゃうな、と納得できる空の青さ、海の美しさ&賑わっていながらフシギと落ち着く静けさが芥屋にはある。さすが環境省の定めた快水浴場百選にも選ばれているだけある(福岡ではここと遠賀郡の波津海水浴場だけ)。

 フランクフルトをノンアルコールビール(これがノンでなければどんなに幸福か!)で流しこみ、空き缶と諸々のゴミをもって海の家のゴミ捨て場へ。
 軒にさがったスピーカーからモーニング娘。「サマーナイト・タウン」が風情たっぷりに流れていたので、一応ファンのたしなみとしてしばしそのまえに佇み、耳を傾ける。
 傾けながら、なんともなしに小屋のなかに目をやると・・・あー、Lovit's!がいるなあ。
 ・・・!?

 慌てて近くにメン・イン・ブラックがいないか探す。今すぐ彼らの記憶消去ペンライトが必要だ。
 しかし、こんなアッツアツのビーチに全身黒い背広で身をかためた男たちがいるはずもなく(ダメ元でペンタゴンに「宇宙船の破片を拾った」と電話すれば良かったかもしれない、秒速で駆けつけるらしいから)、あとはミョウガをどんぶりで食うぐらいしか策は残されていないが、もちろんミョウガを食べさせてくれるような屋台もない。
 ・・・ミョウガ=物忘れの妙薬って認識はいまどれぐらい通じるんですかね。

 ネタバレの衝撃にふらっふらになりながらイベントエリアに戻る。
 ううむ、期せずして"目撃"してしまったけど、逆にそのおかげで期待値も振り切れんばかりになっちゃってたりして、「いっぺん観ちゃったから、もういいじゃん!もっかい確認しにいこうぜ!」と囁く心のなかの悪魔をマウントポジションで抑えこみ、タコ殴りにして我慢する。

 18時。ステージライブが始まり、地元のJazzデュオ(18:00~18:15)、おなじく地元のダンススクール(18:17~18:27)、やっぱり地元のアロハチーム(18:29~18:39)を経て、いよいよ我らがアイドルのお時間となった。
 ちなみに括弧内のタイムスケジュールは僕が測ったものではなく、あらかじめプログラムに書かれていたものだ。えらいキッチリわけとるなあ。
 さて、それではようやく、満を持して「第2回いとしま 海の祭典」を盛りあげてくれるアイドルさんが登場です!
 ザ・ピンチーーーーーズ!!!!!
 だ、だれーーーーーーーーーーーっ!?

 本日の司会も勤めていらっしゃるザ・ピンチーズは知る人ぞ知る〜RKBラジオのレポーター・中村美由紀さんと麦田陽子さんによって結成された〜妙齢女性ユニット。果たして彼女たちをアイドルといっていいのかどうか疑問&若干の抵抗があるが、RKBラジオ・ホームページ内の紹介をみると「いつもピンチの逆境アイドル」と、はっきりアイドルって書かれちゃってるからこれは認めざるを得ない。今のご時世、犬でもおじさんでもアイドルを自称すればそこで即アイドルになれてしまうのだ。これが現在のアイドルシーンだ。
 レトロなテイストの、けっこうじーんとくるオリジナル曲を、夕暮れの芥屋にベテランの風格たっぷりで朗々と響かせておられました。

 ん!で!
 ようやくLovit's!の登場・・・となるわけだが、その前に本日司会を務めるザ・ピンチーズから簡単な紹介がなされた。
 ・・・しきりに「いとしまPR隊 Lovit's!」のことを「Lovit's!隊」と連呼しているのは、なんなんだろう。
 いや、確かにさきほど海の家で糸島PR隊 Lovit's!のニュー・モードを目撃したばかりだが、ひょっとすると、その「変化」にあわせて名前のほうまで変えてしまったのだろうか。
 そうなると・・・俺、もう今日一日で起きた変化を受けとめられないっす!私服で芥屋の海にとびこんじゃうっす!
 ピンチーズの暴虐(と、言っていいだろう)はまだまだ続き「今日は新衣装で来てくれてマース!」と登場前にも関わらず非情のネタバレを投下。こ、こらっ、どういうつもりだ!ネタバレもなにも僕がさっき目撃したものこそ、その新衣装のLovit's!だったわけだが、記事でもここまで伏せてきたんだぞ!
 こればっかりは本人たちの晴れやかなる登場をもって解禁として欲しかった・・・!と、心のなかで悔し涙をなが「お母さんたちがつくったそうですよ~!」くぅー、裏話まで!そういうのはメンバーの口から直に聞きたいの!なんなんだよ!ピンチーズ!
 「それではLovit's!隊の登場でーす!」これだけネタバレしといて、また大事なところで「Lovit's!隊」って間違えるのかよ!オレがなにかしたかよ!ピンチーズ!



    おなじみ「今から〜」が元気よく芥屋の海に響きわたり、Lovit's! Themeにのって今日はフルメンバーのLovit's!隊(いちおう、まだわからないのでピンチーズ呼称を踏襲しておく)が勢いよくステージへ。
 先陣をきったあゆみちゃんが三期生おひろめ公演(2014年6月28日「手をつなぐ糸島市民のつどい」)以来ひさしぶりに「一拍ずれた」手拍子でリズムをとっててキュンとさせられた。
 そしてこれが件のニュー・モード、浴衣ユニフォームだ!
 ひびきちゃんが赤(超似合ってる!)、なるなるが濃いピンク(他は考えられない!)、あんぬちゃんが薄いピンク(どストライク!)、あさきちゃんがオレンジ(ベストマッチ!)、あみちゃんが水色(女神!)、あみなちゃんが黒(そうこなくっちゃ!)、さとみちゃんが金魚柄の白(絶品!)、れなちゃんが紺色(ジャンピングスマッシュ!)、あゆみちゃんが黄色(奇跡!)、あゆかちゃんがパステルグリーン(クロスカットスマッシュ!)、ゆうちゃんが朝顔柄の白(マグナム・オーパス!) とそれぞれ色は違えど、各々のキャラクターに超ハマってて、一瞬で感心を越え感動まで到達してしまった。こんな素晴らしい「変化」は他にない。
 一曲目の「いとくると」から、いつもの感じとはまた違った躍動感がビジュアルに加わり、新衣装の持つ無限の可能性を確信する。
 とくにひびきちゃんの「昔からこの衣装でやってます」といわれても素直に納得できてしまいそうな美しい身のこなし&ただならぬ魅せ方にただただ感服。
 さすがLovit's!のスキルリーダーだ。参った!!!


 MCコーナー。あんぬちゃんからいつも通りの「私たち、糸島PR隊Lovit's!です!」挨拶がなされ、「Lovit's!隊」には変わらないこと/これからも糸島をPRし続けてくれることを確認し、やっと胸をなでおろす。良かった良かった、安心しすぎて逆に海に飛び込んでしまいそうだ。なんでだ。

 二曲目はLinQさんのカバーで「HANABI!!」。
 おお、こちらも今日初おひろめ!イイ「変化」が次から次へと続くなあ。
 僕が知るLinQさんの曲は9割ぐらいがLovit's!さんから教えられたものだが、「HANABI!!」に関してはちゃんとご本尊のそれをなんどか体験済みである。そのなかでは昨年豪雨のなか決行された「LinQ夏祭り」での、映画で観るベトナム戦争のごとき泥まみれの狂騒がとくに忘れ難いが、今日はどこまでもかわいくピースフルな「HANABI!!」で、あっちとはまた違ったエモい情景があった。こうも環境で曲の印象って変わるものなのだろうか(どっちも素晴らしかったですよ!)。
 そろそろカバーレパートリーもたまってきただろうし、「Lovit's、LinQナンバーを歌う」とか聴いてみたいものだ。
 本日は以上の2曲で終了。


 ザ・ピンチーズを交えての後説。
 さすが妙齢の女性コンビはインタビューに於いてもグイグイで、ファンのあいだでも果たしてそうなのか?の議論が尽きない、先だっての「糸島ラビッツ メジャーデビュー」問題に真正面からメスを入れてくる。「メジャーデビューしてみてどう?」と少々答えに窮しそうな質問をされたリーダー・あみちゃんだったが「自分がメジャーデビューの曲に携わってるのが嬉しい」と、確かにマチガイではナイ百点満点の解答でこれをみごとに迎撃。おみごとです!

 ここで出番はおしまい、と思ったらLovit's!はそのままステージに残り、糸島の私設ゆるキャラ・・・といっていいのだろうか、くまのぬいぐるみチーム「コサンタとゆかいな仲間たち」と合流。
 このくまさんたち、時流にとにかく敏感で「恋するフォーチュンクッキー」糸島版をつくったり、いまはファレル・ウィリアムズ「HAPPY」のやはり糸島版をつくらんと活動なさってたりする。
 プログラム・コサンタとゆかいな仲間たち(19:08~19:13)は彼らとLovit's!が「恋するフォーチュンクッキー」を歌い踊るものであった。
 ノンアルコールなこともあって少々恥ずかしいものがあったが「Lovit's!がやるから、やるんだぞ!」と自分に強く言い聞かせ、音楽にあわせ胸の前でおにぎりを握る。
 ステージ去り際、あんぬちゃんが左右二匹のくまに自分の腕を貸して出口へ導いていたのがこのうえなくステキであった。

 やがてサンセットの地に日が沈み、空が暗くなったところで花火が勢いよく宙へ踊りだす。
 その数、5000発。
 花火大会も花火見物どころじゃない混みっぷり&ガヤっぷりでがっかりぐったりさせられるものが少なくないが、ここ糸島の奥部でくりひろげられる地元密着型の花火大会はどこまでも良い意味の「地域のお祭り」感で満ちており、騒ぎや窮屈といったものはみあたらない。
 そのへんの椅子にすわってボケーッと花火をみながら、まったりくつろいでいると・・・ここで次の「変化」が襲ってきた。
 同行の粉砕ジャーナル主幹・黒田さんが突然「かえりましょう!」といいだしたのだ。
 えっ?えっ?
 聞けば、なんと蚊の集中攻撃をくらって、痒みが我慢できない臨界にまで達したらしい。去年はこんなことなかったのに、とボヤき苦しむ主幹にせかされ、アワワと席をたつ〜一箇所も刺されてない、蚊の存在すら気づかなかった〜俺。
 どうやら糸島の蚊にもパワーアップ&凶暴化という「変化」が訪れてたみたいっす。やっぱり「変化はきらい!」

 ビーチからシャトルバス発着場へと続く、街頭ひとつない真っ暗な道をiPhoneと花火の光だけをたよりにトボトボ歩く。
 あたりに真っ暗以外のものがないので、昼来たときよりさらにながい道のりに感じられたが、ふと見上げればなかなかの星空が頭上にひろがっている。「変化」がなければ気づかなかった光景だ。
 意外といいとこあるんだな、「変化」も。

 たしかに「変化」というやつは厄介で、めんどうくさく、しんどい。それでいて、この真っ暗闇ようにその先なにが起きるかは不透明。なのに後戻りは出来なかったりする。
 それが変化だが、変化に身を投じないと見えないものもあるのだ。
 また糸島に、Lovit's!に大事なことを教えられた。
 Lovit's!隊ではなく、Lovit's!に。

 あと、来年は虫除けスプレーが必要ってことも。




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